―――  旅立ち




 いつ、気づいてしまったのかな。

 私は女の子で、二人が男の子だったってことに。

 いつも一緒に遊んでたし、何かをする時に私だけが遅れるってこともなかった。
 何をするのも一緒だった。
 女の子だからって置いてかれるってこともなくて、でもかえってそれが嬉しかった。
 同じ立場で物事を見れてると思ってたし、いつも一緒にいれると思ってた。

 でも、ある時二人の会話を聞いてしまった。
 冒険者になる為にドーマを出るって。
 最初はいつ私にも声をかけてくれるのか、ってわくわくしながら待っていた。
 でも、いつまでたっても声はかからなかった。
 三人でいる時その話題が出ることは、結局一度もなかった。

 何だ、二人で行っちゃう気なんだ。

 わかった時、ちょっとだけ泣きたくなった。
 結局泣いたりはしなかったけど。
 平気な振りはしてみせたけれど、ほんとはすごく、すごく寂しかった。
 いつも一緒におんなじ景色を見てると思ってたのに。
 二人が見てたのは、もっとずっと前にあるものだったんだ。
 それがわかった時、とっくの昔においていかれてしまってた自分に気づいた。

 前に進むことを考えてた二人と、「今」がずっと続けばいいと思ってた自分。

 道はどこから別れてしまっていたのかな……。
 ずっと一緒に歩いていたはずなのに。
 いつのまにか別れてた。
 そして一人取り残された。

 二人がドーマを出てしばらくして、私もドーマを出ることを考えた。
 ドーマには二人がいた気配が残り過ぎていて……。
 そこに一人でいることは、やっぱりちょっと辛かった。

 ドーマを出たら、私も二人みたいに前に進むことができるだろうか?
 それとも、前みたいに一人立ち止まってしまうだろうか?
 あぁ私は一人では、なんて弱い存在なんだろう。

 きっとこのままじゃいけない。
 次に二人に会った時、このままじゃ笑われちゃう。
 そう考えていて、そんな自分に苦笑する。
 こんな時まで、考えるのは二人のこと。
 二人のことを考えて、そして強がって。
 なんて影響力の強い二人。
 二人の顔を思い浮かべて、浮かんだ苦笑を止めることができなかった。

 決めた。
 ドーマを出よう。
 それで自分の力でいろんなことに挑戦しよう。
 どうせこのまま残っていても、立ち止まったままなんだから。
 そして彼らのように、少しでも前を向いて歩いていけるように。
 次に会った時、せめてまっすぐ彼らと向き合えるように。
 そのためには、立ち止まってなんていられない。
 一歩ずつでも進んでいかなくちゃ。

 一人立ち止まったままでなんていられないんだ。
 逃げてるだけじゃ何も始まらない。
 私も、前に進んでいこう。
 最初の一歩を、今、踏み出すんだ。








――――――――――――

 椎杜ぐん様にいただいたマリーナの詩です。
 小さい頃のマリーナの詩をとリクエストをしたところ、この詩と「かくれんぼ」の詩をいただきました。
 なんと、こちらの方が“小さいマリーナ”じゃなくなっちゃったから、ってことでわざわざ2つもくださったんです!! もう、感謝感激雨霰! ちゃんとマリーならしさを掴んだもので、とっても嬉しかったです。
 どうもありがとうございました♪












BACK

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送