―――  挑戦!!




「ねえ、ねえ、パステル。これ、かわいいとおもわない?」
「え?あー、ほんと!!かわいい!!ひとつ20Gかー、悩んじゃうなー」

ここは、エベリン。冒険の帰りに久しぶりにマリーナに会いに来たの。
せっかく久しぶりに会えたからと、店番はトラップに任せて、女の子同士、ショッピングにでてきたの。
まさか、トラップが、おとなしく店番なんてするわけないっておもってたけど、マリーナの
「じいちゃんに黙ってあげてるあんな事やこんな事、うっかり口がすべっちゃうかもww」
という一言で、おとなしくなってしまった。さすが、マリーナだよね。
二人できゃあきゃあ露天を眺めていると、店番をしていたおじさんが
「きみたちかわいいから、一つ20だけど、二つで30でいいよ!」
「本当?じゃあ、買っちゃう?」
「うん!!かちゃお!!どれにする?」
私たちは、たくさん並んだアクセサリーの中から、小さなターコイズをたくさん使ったブレスレットを、おそろいで買った。
「ラッキーだったね!!、ターコイズって夏っぽくて素敵だし、冒険中も邪魔にならないから、ずっとつけられるよ!!それに、マリーナとおそろいだしね!!」
「ねー!!私、大事にするよ!!これと同じくらいね!!」
マリーナが指差したのは、胸元できらりと光るペンダント。
実はこれ、クレイからのプレゼントなんだよね。今回、マリーナのところに来る事を決めたとき、いつも世話になってるからって、旅の途中にクレイが選んだプレゼント。
小さなイルカがアクアマリンの石を抱いていてとってもかわいいの!!

しばらくぶらぶらと歩いていたら、マリーナがどうしても、本屋さんに行きたいと言い出した。
私も本は大好きだから、大賛成でついていく。
「あ、あった!!良かったー、売り切れてなくて!!」
「なあに?それ?どんな本なの?」
「これね、今、すっごくエベリンではやってるのよ!!後で一緒に読みましょ!!」
マリーナはさっさと会計を済ませ、私たちは、家で待つみんなにお土産としてクッキーを買い、帰って行った。

家に戻ると、中にはトラップしかおらず、トラップも私たちが帰ってくるとさっさと遊びに行ってしまった。
ルーミィたちは公園に遊びに行ったらしい。
私たちは、さっきマリーナが買った、雑誌を広げてみる事に。
「この雑誌ね、エベリンですっごく人気で、今流行のファッションや、メイク。おしゃれなカフェとかが紹介されてるんだけど、一番人気なのは、これ!!この占いのページなの!!すっごく当たるって有名なんだから!!」
「へー、そうなんだ!!どれどれ?」
マリーナが指すページにはたくさんの星のイラストがちりばめられた神秘的な感じのコーナーで、大きく
”クリスティンの星占い”と書いてあった。
「えっとー、今月の私はっと・・・!!嘘!!すっごい!!当たってるー!!」
「え?え?なに?なんて書いてあったの?」
「えっとね、今月の私は、全体的には良くも悪くも無いんだけど、ほら、ここみて!!ね?」
そこに書かれていたのは、”大好きな彼から、プレゼントがもらえるかも!!”の文字!!
「ね!!当たってるでしょ!!えっと、ラッキーアイテムは、やったー、ターコイズのアクセサリーだって!!さっき買ったコレでいいんだよね!!」
「すっごーい!!本当に当たってるんだね!!じゃあじゃあ、私は?」
私は2月生まれなので、その場所を探すと

”全体運と金運は普通、でも、恋愛運が上昇気味。普段とは違う大人っぽいおしゃれを挑戦してみては?ラッキーアイテムは、ラメの入ったグロス。”

「ええー!恋愛運が上昇中だって!!ラッキーアイテムは、ラメの入ったグロスって、私そんなの持ってないよ」
「いいじゃない!!グロスなら私のをあげる!!確か新しいのがあったはず!!ピンクって可愛いなーって思って買ったんだけど似合わないんだよね。それに、ふーん、大人っぽい服ね。確かに、パステルっていつも可愛い感じの服出し、挑戦してみてもいいんじゃない?」
「ええ?そんなの絶対似合わないよ!!それに、私はまだ恋愛っていう気分じゃないし・・・。」
「当たるも八卦、当たらぬも八卦なんだし、そんなに真剣にならなくてもいいじゃない。それに、素敵な出会いや、知らないことがわかるかもよ?ね!!服ならたくさんあるし、やってみよ!!」
うー、なんだか、マリーナ、楽しそう。でも、確かに単なる占いだし、普段着れないような服を着てみるのは、楽しそうかも。

マリーナは、さっさと、クローズの札を表に出し、私に着せる服を選びに行った。
あーじゃない、こうじゃないと、何着か選び、そのうち一着を着てマリーナにお化粧をしてもらう。
もちろんピンクのラメ入りグロスを使ってね。

できあがったのは、ロングのノースリーブのワンピースに薄い透けるタイプのショートだけのカーディガンを胸の下でくくり、長い目のネックレスを首から下げ、白くてかかとの高いサンダルを履き、髪をアップに結い上げた姿。
こんな格好、初めてしたかも。
それを少し離れた場所から確認したマリーナは
「うん!良く似合ってる!!パステルは背も高いし、スレンダーだから、ロングのワンピースが良く似合うわ!!いつものみにも可愛いけど、こういうカッコも良く似合ってる!!あ、そうだ、こっちも着てみて?」
渡されたのは、黒いチューブトップに、白いTシャツと、タイトスカート。
コレなら、普段でも切れそうかなっと思って手にとって見ると,Tシャツは大きく首元が開いていた上、背中にいたってはほとんど隠してない。スカートもぴったりしたタイトなスカートのサイドにざっくりとしたスリットが入っていた。
「ま、マリーナ。コレ着るの?」
「もちろん!!バーンと見せるより、こういうチラッと見せるのがセクシーなんじゃない。大人な格好でしょ?」
口でマリーナに勝てるわけも無く、私はのそのそと着替えた。
「ねえ、スリット大きすぎない?背中も気になるし」
「大丈夫よ!なんのためのチューブトップ!!肌はそんなに見えてないから!!」
マリーナは大丈夫だって言ってくれたけど、やっぱりなんだか恥ずかしい。
丁度その時、みんなが帰って来てしまった。
「ああー、パール、あたあしいお洋服なんだお!!るーみぃも、るーみぃも!!」
「へー、そういう服も似合うじゃないか。でも、なんだかパステルじゃないみたいだな。なんだか大人の女性って感じがするよ」
「パステル、きれいだ。」
「いいじゃないですか。スグリには負けますが、おきれいですよ。フムフム。こうしてみると、パステルも女の子というより、女性って感じですねー」
これって、自分が思ってるより、似合ってるってことかな?
みんなが口々に褒めてくれている中、黙ったままじっと私を見ている人物がいる。トラップだ。
どうせ、似合わないだの、荷が重いだの、服に負けてるだの失礼なこというんだろうなー。
覚悟を決めて、トラップの前で「どう?」と聞いてみた。
けれど、トラップはじーーーっとわたしを見つめたまま、瞬きすらしない。
「ねえ?なにかないの?」
「ふふぇ?あ、や、その、パステルだよな?」
「なにいってるの?当たり前じゃない!!」
「・・・いや、その、すげー、そう、化粧ってのはすげーもんだ。あんなガキっぽいパステルが、ってよー。」
「なあに?トラップ、そんなにお化粧したパステルが綺麗で、みとれてたって?」
「ば、ばかいってんじゃねー!!ちょ、ちょっとびっくりしただけだ!!それに。こんな大人なねーちゃんが着るような服、着せたおめえらに感心してたんだよ!」
顔を真っ赤にしながら、そう捲し上げると、奥の部屋にさっさと歩いていった。
「本当に素直じゃないんですから」
「本当よねー」
キットンとマリーナが顔を見合わせて頷きあっている。
・・・本当に?トラップが私を綺麗だと思ってくれたの?

その夜食事を終え、のんびりしているとトラップが外へ出ろと合図してきた。
なんだかわからないけれど、ついていってみる。

少し歩いたところで、トラップが重い口を開いた。
「・・・なあ、何でいきなりあんなかっこうしてたんだ?いつものおめえが選ぶようなふくじゃねえだろ?」
「へ?ああ、あれはね。」
事の顛末をトラップにおしえる。
「・・・だから、どうせ、当たるかどうかもわからないし、挑戦ぐらいしてみたら?ってマリーナがいってくれたの。」
「・・・・・・おめえは、当たってほしかったのか?」
「うーん、どうだろう。恋愛ってまだ良くわからないけど、素敵な出会いがあったらそれもいいなーって感じかなあ」
「・・・・・・別に、そんな格好しなくても、いいだろ。おめえのよさは他の男に見せびらかさなくても、俺が一番知ってる。なあ、俺な、ずっと前から・・・」


まさか、たった一冊の雑誌の単なる占いがこんな事になるだなんて。
けれど、信じてみて、挑戦してみてよかった。
こんなうれしい結果なら占いも信じたくなるね!!


後日、こっそりと恋人になったトラップが、
「あんときの服、似合ってた。また、着て見せろよ。でも、俺だけの前でだけな!!」
だなんて、ちょっと笑っちゃった。






fin.









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 まんまるり様からありがたく頂いてきたSSです!
 占いにおしゃれ…パステルとマリーナの姿が想像できて素敵でしたvv
ちゃーんとトラパスでめでたしめでたしになってるのもポイントです。

 自分じゃ絶対思いつかない「挑戦」SSを、どうもありがとうございました☆











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