―――  お買い物あどべんちゃー




はじめてのおつかいに出かけたルーミィはシロちゃんを連れて、薬局へ向かう。
と言うのも、パステルが進まない原稿を目の前にして頭痛がすると言うからだ。
頭痛薬を買うためにルーミィとシロちゃんは薬局へ向かっていた。
途中、食べ物屋さんの前を通ると食べ物がほしくなったが……パステルのために我慢した。
「しおちゃん。「やきょく」やさんってどこなんらおうね」
てくてくとこまごました街道を進み、ルーミィは着いてくるシロちゃんに言った。シロちゃんは「わんデシ!」としか答えなかった。
パステルに人前でしゃっべたり、大きくなってはいけない、と言われていたから
だった。これでも、シロちゃんはホワイトドラゴンの子供なのだ。
しかし、そんな二人の後を着いてくる怪しい人影が二つ……。
「……ったく。着いてくるぐらいだったら、自分で行けよなっ」
ぶつくさと文句を言いながら、ルーミィとシロちゃんの後をつけるトラップ。
「だって……。あれは絶対に行くって言う目をしてたんだもん……」
服屋の角からルーミィたちを着けるパステル。
彼らはルーミィとシロちゃんが心配だったので、内緒で後をつけているのだ。
「じゃ、なんでオレまで行かなきゃなんねーだよ……」
「いいじゃない。どうせ、暇だったんでしょ?」
「お前なぁー……」
「違うの?」
「別に……」
どうやら、本当にトラップは暇だったようだ。それもそのはず。お金が底をついたので、カジノにも行けないのだ。
「あ、お店に入った……」
ルーミィとシロちゃんは薬局に入って行った。
どうやら、パステルとトラップが少しもめている間に人に道を尋ねていたようだ。多分、シロちゃんが小さい声でルーミィにアドバイスをしたんだろう。
「すいませーん!」
「はいはい。いらっしゃい」
「えーっとぉ……おにゃかいちゃいのなおるおクスリ!」
ルーミィは大きな声で店員さんに言った。
それを見ていたパステルは、
「きゃーっ。違うでしょ!ルーミィ」
と、はらはらした様子で言った。もちろん、小声で。
トラップはパステルの慌てぶりようは気にせず、何か言おうと口を開いた。
「なんだよ、おめぇ。べ──」
どごっ。
パステルにゴミ箱で殴られ、トラップは昏倒する。
「いってぇ……何すんだよ!」
「バカッ!そんなワケないでしょ!わたしが頼んだのは頭痛薬よ!」
そんなこんなでルーミィはシロちゃんにアドバイスされる。
「ルーミィしゃん。おなかのおくすりじゃなくて、あたまのおくすりデシ」
「そうなんかあ?……えーっと、あたまがいちゃいのなおるおくすりください」
「ああ。頭痛薬か。ちょっと待ってな」
と、店員さんはお店の奥にひっこんだ。そして、頭痛薬を持って現れる。
「はいっ。お薬だよ。偉いねぇ……おつかいかい?」
「うん。そうだおう!ぱーるぅにあげうんだよ!」
リュックからお金を出しながら、ルーミィは元気良く答えた。
「へぇー……。そうかい、そうかい。良い子には飴をあげよう。はい」
店員さんはルーミィに棒のついた飴を渡す。ルーミィは喜んでそれを受け取った。
「わーい♪ありがとう」
ルーミィはお金を支払うとお店を後にした。手には今、もらった飴と買った頭痛薬を持って……。
「よかったぁ……」
「シロがいて助かったな」
服屋の角からルーミィ達を見ていたパステルとトラップは安心したように言った。
しかし、家に帰るまでが遠足……と言うのと同じように、まだはじめてのおつかいは終っていない。
「ルーミィ……ちゃんと帰れるかな?」
「大丈夫だろ?ここまで来れたんだからな」
薬局からみすず旅館まではそれほど遠くはない。しかし、まだ小さいルーミィにとっても遠いところだろう。
ルーミィが道を覚えている……ということはあまり期待はできない。望みはシロちゃんなのだが……。
「ルーミィしゃん。こっちデシよ」
くんくんと鼻で匂いをかいで、シロちゃんはルーミィに帰り道を教えた。ただし、小声で。
てくてくと歩いて行くルーミィとシロちゃん。やはり、ついてくるパステルとトラップ。
「しおちゃん。ぱーるぅ、だいじょうぶかな?」
「わんデシ!」
「ぱーるぅが……しんじゃったら……」
悪い考えを吹き飛ばそうとふるふると首を振るルーミィ。だけど、悪い考えは飛んでいかなかった……。
そればかりか、どんどん悪い考えが浮かんできてしまって怖くなった。
じわじわと涙がにじみ始めた。
「うっ……えっ……わあぁあぁぁあぁんっ」
とうとうその場で泣き出すルーミィ。わんわん泣くルーミィをなだめようとシロちゃんが零れ落ちる涙をぺろぺろとなめる。
シロちゃんに気付いて振り向くルーミィ。
「わんデシ!」
シロちゃんはルーミィを心配そうに見て、泣かないで、と言う風に目で訴える。
「うっ……っく……じおぢゃああぁぁぁんっ」
シロちゃんに抱き着いて、また泣き出すルーミィ。
「わんデシ!わんデシ!」
くいくいとルーミィの服を引っ張るシロちゃん。早く帰ろう、と言っているようだ。
シロちゃんはパステルに会えば、ルーミィが泣き止むと思ったのだろう。
「っく……えっ……うっ……」
まだ泣き止まないが、ルーミィの服を引っ張って帰り道を教えるシロちゃん。
そんな二人を見守る二人の影。
「ルーミィ!」
だぁっ、とルーミィに駆け寄ろうとするパステル。だが、それをトラップが止める。
「バカッ!今、出て行ったら、意味ねぇーだろ!?」
「でもっ……」
「俺らは帰って、ルーミィを待つんだ。いいな?」
「……うん」
不安げにルーミィを見ていたパステルだが、トラップにながされみすず旅館へと帰って行った……。
「……うっ……えっ……っく」
ルーミィは泣きながら、みすず旅館への帰り道を歩いた。
「ルーミィしゃん……」
人気がなくなるとシロちゃんはそうつぶやいた。
「もうすぐデシよ。頑張って下さいデシ」
「……っく……うんっ」
とぼとぼと暗い道を歩いて行くルーミィとシロちゃん。辺りは暗くなり始めていた……。

シロちゃんに導かれ、ルーミィはみすず旅館へ帰って来た。
玄関にはパステルが立っていた。その姿を見つけるとルーミィはパステルに飛びついた。
「ばあぁーるうぅ!」
パステルはぎゅっとルーミィを抱きしめた。ルーミィはわんわん泣いた。
「ありがと。ルーミィ」
「えっ……ぱーるぅ……っく……うっ」
パステルの腕の中で安心したのか、ルーミィは眠ってしまった。
パステルはシロちゃんに顔を向けて、
「ご苦労様。シロちゃん」
「わんデシ!」
シロちゃんはそれだけ言った。その様子を窓から見ていたトラップが、
「これで……ルーミィの初めてのおつかいも終った訳か……」
パステルの腕の中で眠りに落ちたルーミィは、夢の中でパステルと公園で遊んでいた……。
次の日。パステルは無事に原稿を印刷屋さんへ持って行った。
いつもよりも早い仕上がりだった……。

-fin-









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 藍沢なる様のサイト「AQUARIUM」で4500HITを踏ませていただきましたv
 シロちゃんとルーミィのお話を・・・とリクエストして、もう、期待通りの可愛い2人のお話を書いていただきましてありがとうございます!!
 ルーミィの気持ちが痛いほど伝わってきて、すごくよかったです。シロちゃんも相変わらず健気で可愛いし♪ 密かに後をつけてるパステルとトラップもツボでした。(笑)
 ホントに、どうもありがとうございました!!










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